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2009.09.20 (Sun)

合唱団革命

9月5日にBIWAKOオラトリウム合唱団を結団して今日が3回目の練習でした。

最初から多くを望むのは無理なんですが、メンバーの募集がなかなか思うように進まず、現在参加されている十数名の方には心細い思いをさせてしまい、申し訳ない思いでいっぱいです。
ただ「時間が経てば成長する、実績を積み重ねれば自然と大きくなる」ではなく、代表であるぼくの努力が問われることは言うまでもないことですし、ここ最近は電車の中、トイレの中にいても「いかにすればぼくが思い描く合唱団に成長させられるか」と思案しているところです。

質の高い合唱団を作るにはどうすればいいか。

一番の近道は潤沢な運営資金、そして大企業並みの給与と待遇を用意して、プロ団体として運営していくこと。
そうすれば、音大を卒業して活躍の場を探している方を始め、比較的簡単に高いスキルを持った人を集めることができる。
けれど、これはどう考えても難しい。

そもそも日本には音楽大学が多い割に、日常の生活とクラシック音楽の結びつきが非常に弱い。
これは長い間かけて培われてきた文化に対する概念であり、幾度か小さなクラシックブームは訪れるにしても、カラオケや居酒屋に行く感覚でクラシックの演奏会に行こう、とはなかなかならない。
そのため、ご存知の通り、プロ団体であってもオーケストラや合唱団はどこも経営が厳しく、かといって国や自治体が潤沢な補助金を出して万全のサポートしてくれるかと言えば、現状はまったく逆で、真っ先に削られ、整理される対象になってしまう。

もっとも、入場料を下げればもっとクラシックが身近なものになるのに、という声はよく聞こえてくるし、ぼく自身も一時期はそう信じて疑わなかった時期もあるんですね。
けれど、皆さんは年に何回クラシックのコンサートに行かれますか?
クラシックは好き!という人はかなり沢山いらっしゃっても、実際に頻繁にコンサートに行かれる方やオーケストラなどの定期会員になっている人は稀。
結局、我が国でクラシック音楽を扱う以上は、経費と収益のバランスを取りながら安定した運営を目指すことは非常に困難ですし、ましてや独立採算で運営を成立させることは半ば不可能に近いんですね。

そして何よりも、ぼくとしてはこの合唱団をプロ化しようとは最初から考えてないんです。
仮に潤沢な資本金があったとしても、ですね。

それはぼく自身が「表現者であるよりも伝道者であれ」というポリシーに基付いて音楽と向き合っているからなんです。
確かに質の高いものを創り出し、対価をいただきながら多くの人に音楽を届けていくことも素晴らしい音楽活動の一つだと思いますし、飛びぬけた才能を持ち努力を重ねてきた方は一流の演奏家として沢山の方に感動を与え続けています。
けれど、残念ながら、ぼくにはその才能も努力も足りなかった。
それに気付かされ、ぽつんと一人荒野に放り出された時、時間をかけて色々なことを考えた。
このぼくには何が出来るだろう、そして何をしなければならないのだろう、と。

そして導き出した答えが「一人でも多くの人に音楽と触れ合うことの喜びを感じてもられるような伝道師」になろう、というものだったんですね。
それからは小さな子供さんの為にお芝居を書いたり、市民団体さんと共にミュージカルを作ったり、病院や学校を回ったりと、ぼくの力で出来る範囲のことをぼくなりに精一杯やってきた。
そしてこうした活動を通してたどり着いた形が「音楽は奉仕」であるというぼくなりの定義でもあったんです。


そのためには、この合唱団は絶対にアマチュアでなければならない。
そして、その門戸を常に大きく開いておき、誰でも気軽に音楽の美しさに触れられる機会を用意しておかなければならない。

この合唱団が目指すものは「珠玉のハーモニーを美しさを実感し、参加した人、聴いた人が一人でも多くその響きによって癒されること、そして救われること」です。
しかしながら、質の高いものを目指すということと、広く門戸を開くことは基本的には矛盾するものです。
質の高いものを目指すには、厳しい練習と努力を積み重ねてきた精鋭を集める必要があるし、気軽に参加できるとすれば、必然的に団員さんの技術にはバラつきが生じてしまう。
現実的に言えば、アマチュア合唱団である以上は文字通り、一般の音楽愛好家の方が大多数を締めることになりますし、技術面で言えば声楽科で学んだ方やプロとして活躍されている方にはやはり及ばないと言わざるを得ない。
けれども、ぼくが目標とする形を整えるには、どうしてもその矛盾をすり合わせて可能な限りまでシンクロさせる必要がある。

そのためには何が必要か、そして何をしなければならないか。
9月5日の結団式以来、ずっとトイレの中に篭ってそれを考えているんです(笑)
そして3回の練習を終えてみて、ぼく自身が気が付いたこと、思い付いたことを、今急ピッチで形にしているところなんですね。

具体的にはざっと次のような作業を進めています。

■練習用音源の配布

練習用音源というのは、伴奏に各パートごとにガイドメロディーを収録した音源で、団の立ち上げ当初から言わばマニフェストのような形で公約してきたことでもあるんですね。
これは、パート練習時に覚え切れなかった音、演奏が困難な部分などを、プライベートな時間でも気軽に練習していただけるようにと進めているシステムで、取上げる曲を全曲制作し、CD化した上で団員さんに配布しています。
正直言って、2時間半の練習時間というのはあっと言う間で、不安な部分、難しい部分を何度も繰り返して練習していると、その1曲だけで練習時間が終わってしまうことすらあるんです。
けれども我々が取り組もうとするものは、クラシック界に燦然と輝く大曲なわけで、多いものでは1曲の中に合唱が20曲なんてものもある。
もっとも、大きな合唱団さんは年に1回こうした曲を取上げ演奏会をされていらっしゃるところもあるわけで、公演そのものは決して不可能なことではないんです。
ただ、挑戦するからには誰よりも、何処よりも質の高いハーモニーを生み出していきたい。
さらに団員さんによっては、家に音取りができるような鍵盤楽器を所持しておられない方や、一人で音取りを進めることができない方も多くいらっしゃるわけで、そうした方が事情により何度かパート練習に参加できなかったりすると、せっかく大曲に取り組んでも消化不良で終わってしまうことも起こり得る。
団としては、そうした方を一人でも少なくしたいんです。

■WEBサイトの整備

ホームページというものは、大抵どこの合唱団さんも開設しておられます。
BIWAKOオラトリウム合唱団でも当然WEBページを制作、公開する予定で、現在この作業を急ピッチで進めています。
しかしながら、少しでもいい音楽を生み出すためには、このWEBページというものも最大限に活用していく必要がある。

そもそも、毎週練習を行なうと言っても、1度に出来ることは微細なもので、高いものを求めれば求めるほど、それに対し時間がかかるのは至極当然の原理です。
そこで、ぼくのところでは「団員専用のコミュニティースペース」を開設し、そこで毎週の練習だけではなく、団員さんが好きな時に、好きなだけ演奏に関する各種情報を閲覧できるようにし、知識、技術的な向上に繋がるよう、可能な限りのサポートを行なっていきたい。

具体的に進めている作業は次の通りです。

1.発音に関するレクチャー、及び正しい発音の音源の公開
2.楽曲解説、分析などの演奏に取り組む際に知っておくべき情報
3.指揮者が組み立てたアーティキュレーション、強弱などの情報を楽譜に併記し解説
4.前回練習時の様子をレコーディングし、WEB上で公開


特に4番に関してはもっとも力を入れて整備していきたいと考えていて、前回練習の内容が試聴できることによって、練習に参加したした方は、その内容をより確実に深く理解することができ、また練習に参加出来なかった方は、1回休んだことによる遅れを最小限に留めることができる。
その他、毎週の練習日以外にも、ぼくやボイストレーナーの先生、ピアニストさんなどと密接にそして気軽にコミュニケーションを取れる環境を整えることによって、分からない部分、出来ない箇所などについてのアドバイスが気軽に受けられ、団員一人一人が自信を持って舞台に上がれ、消化不良やハーモニーの質の低下を最小限に抑えることができる。

■入団条件の大幅緩和

合唱団の練習というものは大抵が月3回~4回なんですね。
ぼくのところも基本的に毎週土曜日に練習を行なっていますし、通常は4回、多ければ5回になることもあります。
けれども、アマチュア合唱団である以上は、当然、仕事や学校など、音楽とは別の生活の中心を持った方が集まるわけで、皆さん、忙しい合間を縫って頑張って練習に参加してくださる。
そうした情熱や音楽愛を持った方が参加してくださるのは、ぼくとしても心強い限りですし、また団員さんも忙しい中頑張っておられるんだ!よし、こっちも頑張ろう!というぼく自身の力にもなる。
そして、ぼくとしては何よりもその「情熱」と「歌いたい」という気持ちを大切にしたいと考えていますし、またその熱意こそが美しい音楽を生み出すのにもっとも重要なファクターであるとも思っているんですね。

さて、もしここに「仕事が忙しく月2回ほどしか土曜日に休みが取れないけれど、歌うことは好きだから機会があればまたどこかでやりたい」と願っている方がおられるとします。
しかしBIWAKOオラトリウム合唱団の募集要項には「毎週土曜日練習」と記載してあるんですね。
忙しい方にとって、この「毎週」という二文字はとてつもなく高いハードルで、この文字ゆえに参加を諦めてしまわれるかもしれませんし、参加したくとも、毎週練習に参加しているメンバーと差が開いてしまうのではないか、ついていけるだろうかという不安を抱えておられる方もいらっしゃると思うんです。
けれども先にお話した通り、ぼくとしては可能な限り多くの方に向けて門戸を開いておきたい。
それが「歌いたいという情熱」を持っている人であればなおさらのことです。

そうした観点からぼくの合唱団では、必要練習参加回数については募集要項でも内規でも触れていません。
つまり、それぞれが出来る範囲で、出来る限りで、練習に参加してくださればいい、というスタンスを取っています。
言い換えれば、月2回ほどしか練習に参加できずともBIWAKOオラトリウム合唱団には入団できる。

もっともこの方針には大きなリスク、つまり作り上げる音楽の質の低下、そして、毎週頑張って練習に参加している団員さんの士気の低下が懸念されるというリスクが付きまといます。
もちろん質や士気の維持のためには「練習は毎回参加」という条件をつけることは決してマイナスだとは思わないんですし、むしろそれが理想とも言える。

けれどここ10年ほどでかくも情報伝達の整備が進み、パソコンや携帯電話を始めとする「記録保存型」の情報が瞬時に送れるようになったことは、一昔前のように「その場にいないとまったく情報が入らない」というアナログな時代から見ればある種の革命のような変革だとぼくは捉えているんです。
つまり、こうしたデジタルの活用の仕方によっては、限られた時間の中で効率よく練習を進められるチャンスが限りなく広がっていくんじゃないかとぼくは考えていますし、またそれを最大限に活用するべきだとも考えている。
もちろん、毎週集まり、厳しい練習を重ね力を合わせ美しい響きを目指していくことで、得るもの、学ぶものが大きいのもまた事実です。
けれどその理想のために、歌いたいのに歌えないという人を増やしてはならない。

どちらを取るか。何を目指すか。
非常に難しい問題ではありますが、出来ることにはどんどんチャレンジしていきたいし、またこの「チャレンジ」というキーワードは大曲に取り組む我々にとってもっとも重要な言葉ですしね、代表であるぼくが保守的な従来の手法を踏襲していてはいけない。

ただ、デジタルの活用に関しては問題点もあって、例えばネットが使えない方、またご年配の方などにとっては逆にわずらわしい作業になってしまう。
それについては、例えば一旦デジタル化してWEB上に公開した情報や音源などを、すべて再アナログ化し、CD(場合によってはテープ)に収録、文章については書類や冊子という形で、希望される方に郵送にて送付するというシステムで対応しようと思っています。


先日ある方からアドバイスをいただいたんですね。

「滋賀の文化レベルは低い。滋賀でハイレベルな合唱団を運営するのは困難だ」と。

残念ながらこの言葉はその通りと言わざるを得ない。
何年か前、京都のある大きな合唱団さんにお手伝いとして参加させていただいたんですが、その時に滋賀県の大津や草津、さらには守山や栗東といった京都からかなり遠い地域から参加されている方が沢山おられて、驚いたことがあるんですね。
滋賀県というのはびわこホールを筆頭として文化施設の面では非常に恵まれている。
毎年多くの方が、滋賀県に居を求めてこられることを見ても、環境の良さはさらに申し分ない。
けれど、残念ながら滋賀県に音楽大学はありませんし学ぶ環境はまだまだ未整備であり、演奏団体の数も多いとは言えないのが現状なんです。
もちろん日々努力と挑戦を続けておられる団体さんはありますし、そうした団体の中心で活動する方は皆さん、滋賀県の文化芸術の質の向上に尽力しておられる。
しかしながら、市場原理と似たようなもので、そこに切磋琢磨できる競争相手と、それを評価する消費者がいないと地域レベルの押し上げはなかなか難しい。
結果、本当に合唱が好きで、常にチャレンジをしていきたいという方は、京都や大阪など他府県で大きな団体に所属されるというある種の構図が出来上がってしまっている。

しかしながら圧倒的な人工増加率を誇る滋賀は、無限の可能性を秘めた魅力的な場所だとぼくは考えているんですね。
間違いなくこれからも沢山の人、モノが流れ込んでくる。
もちろん現状では我々の合唱団は大都市の大きな団体さんには、技術、経験、システム、知名度などあらゆる面で及ぶべくもないですし、おそらく第1回の演奏会はお世辞にも素晴らしいものとはなり得ないかもしれない。
けれど美しい場所で美しい音楽を、そしていつでも気軽に楽しめる環境を、という理想的な形を実現するために、また、美しい音楽によって参加する人、聴く人を始めとする合唱団に携わってくださった皆さんの心の中に敬虔で純朴な風を吹かすためには、誰かが立たねばならない。

これからは暫くは、ぼくにとっても団員さんにとっても苦労の連続になると思います。
もしかすると、失敗と挫折の毎日になるかもしれません。
けれどもこの産みの苦しみの中で得た経験は、皆さんの心の中で大きな自信と誇りとなって燦然と輝く財産になることと思いますし、音楽を通して、受け取る喜びから与える喜びを、そしていつの日か「生きる喜び」を強く実感していただけると心から信じています。
またそのためにぼく自身、運営に、指導に、サポートに不惜身命の覚悟で取り組んでいく所存です。

最後になりましたが、貴重なお時間を割いてここまでご覧下さった方には厚く御礼申し上げます。
また、これをご覧になって合唱団の活動に僅かでも興味を持ってくださった方は、是非お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

                          BIWAKOオラトリウム合唱団代表 辰巳直弘
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