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2009.04.12 (Sun)

魔王/F.シューベルト テノール/辰巳直弘

魔王/F.シューベルト 詩/ゲーテ
テノール独唱・ピアノ伴奏/辰巳直弘


http://piano.adam.ne.jp/asx/maouuta.asx

Wer reitet so spät durch Nacht und Wind?
こんな嵐の夜遅くに馬を走らせるの誰だ?
Es ist der Vater mit seinem Kind;
それは子供を抱えた父親だ。
Er hat den Knaben wohl in dem Arm;
子供を腕の中に抱え込み
Er faßt ihn sicher, er hält ihn warm.
しっかりと暖かく抱いている。

Mein Shohn, was birgst du so bang dein Gesicht?
「息子よ、どうしてそんなに怖がって顔を隠すのだ?」
Siehst, Vater, du den Erlkönig nicht?
「お父さん、見えないの?魔王がいるのが!
Den Erlenkönig mit Kron' und Schwaif?
王冠をかぶって裾をひいた魔王の姿が見えないの?」
Mein sohn, es ist ein Nebelstreif.
「息子よ、あれは霧がなびいているのだよ」

Du liebes Kind, komm, geh mit mir!
「可愛い坊やよ、おいで、一緒に行こう!
Gar schöne Spiele spiel' ich mit dir;
私と一緒にとても面白い遊びをしようじゃないか。
Manch bunte Blumen sind an dem Strand.
岸辺にはきれいな花がたくさん咲いているし
Meine Mutter hat manch gülden Gewand.
私のお母さんは金色に輝く服をたくさん持ってるいるよ。」

Mein Vater, mein Vater, und hörest du nicht.
「お父さん、お父さん、聞こえないの?
Was Erlenkönig mir leise verspricht?
魔王がそっとささやいているのが。

Sei ruhig bleibe ruhig, mein Kind;
「落ち着いて、じっとしていなさい、息子よ。
In dürren Blättern säuselt der Wind.
あれは枯葉が風にざわめいているのだよ。」

Willst, feiner Knabe, du mit mir geh'n?
「可愛い坊やよ、私と一緒にいかないか?
Meine Töchter sollen dich warten schön;
私の娘たちに世話をさせてあげよう。
Meine Töchter führen den nächtlichen Reih'n,
私の娘たちは真夜中にダンスを踊るの大好きなんだよ。
Und wiegen und tanzen und singen dich ein.
おまえをゆすぶって、歌って踊って、眠らせてくれるよ。」

Mein vater, mein Vater, und siehst du nicht dort
お父さん、お父さん、あそこに見えないの?
Erlkönig Töchter am düstern Ort?
暗いところに魔王の娘たちがいるのが。」

Mein Sohn, mein Sohn, ich seh es genau;
「息子よ、息子、私にはちゃんと見えている。
Es scheinen die alten Weiden so grau.
あれは灰色の柳の老木だよ。」

Ich liebe dich, mich,reizt deine schöne Gestalt;
「私はおまえが大好きなんだ。おまえの美しい姿にはぞくぞくする。
Und bist du nicht willig, so brauch' ich Gewalt.
おまえに来る気がないのなら、力ずくでも連れていくぞ。」

Mein Vater, mein Vater, jetzt faßt er mich an!
「お父さん、お父さん、魔王が今ぼくをつかまえる!
Erlkönig hat mir ein Leids getan!
魔王がぼくに痛いことをしたんだよ!」

Dem Vater grauset's er reitet geschwind,
父親はぞっとして、馬を全速力で走らせる。
Er hält in Armen das ächzende Kind,
あえぐ子供を両腕に抱え
Erreicht den Hof mit Müh' und Not;
やっとの思いで屋敷にたどり着くと
In seinen Armen das Kind war tot.
腕の中で子供は死んでいた。                                 




中学校の教科書で習った方も多いんじゃないかしら。
言わずと知れたシューベルトの歌曲の代表作。
作曲されたのはシューベルト18歳、1815年できわめて短時間で書き上げられた。
シューベルトはどちらかというと推敲を重ねてじっくり作曲するタイプではなく、思うがままに楽想を書き付けていくタイプだったから、まさに彼らしいひらめきと即興性溢れた生き生きとした作品。
それを3回改訂し実際に出版されたのは6年後の1821年。

詩はこちらもご存知の通りヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe, 1749-1832)によるもので、超自然的な存在である魔王に襲われた子供の死を描写している。
この詩はゲーテによって1782年の歌劇『漁師の娘』(Die Fischerin) の一部として作詞された。

隔絶して有名な曲だから、詩について、魔王については様々な解釈がなされているけど、ここは素直に「危篤状態にある子供の見る幻覚」ということでいいんじゃないかな。
一歩踏み込んで精神世界的に「死神」と解釈してもいいと思うけれど。

さて、とにかく、劇的な曲だし極めて高い演奏効果の上げられる曲ではあるけど、まぁとにかく歌い難く、弾き難い。
特に、伴奏はべらぼうに弾き難い。
どんなに脱力して弾いても、この速さでのオクターブ連打はやっぱり至難の業。
メゾフォルテかメゾピアノあたりでアバウトに弾いていいなら話はまた別だけど、至る所に強烈なアクセントやフォルテが顔を出すから、もうたまったもんじゃない。

伴奏を制作にするにあたって、当然、一発録りなんかできず・・・。
何度も弾き間違いながらも、とにかくとにかく繋げつつで制作。

歌もそれなりに歌いにくい。
まず4人の登場人物ってのがやっかい。
演奏効果を上げる意味で一番理想的なのは、もちろん4人に分けて歌うことだと思うし、語り(バリトン)、父親(バリトン)、子供(テノール)、魔王(バス、バリトン)なんて配役でやればきっとすごくダイナミックな情景が浮かび上がってくる。
けれど、あくまでも1曲のリートという意味では一人で歌わなきゃならない。
ぼくはテノールだから、子供のパートはいつもの調子で少し軽めに歌ってやればおっけー。
けれど他の3パートは当然、声質を変えてやる必要がある。
で、声質を変えて太く声を作ると、今度子供のパートになったときに、うまく声が抜けないんですよね・・・。
軽く作れない。

あとやっかいなのは魔王。
魔王というぐらいだから、恐ろしく低くドスの効いた声で!といきたいところだけど、シューベルトの要求はまったく逆。
一回目の魔王登場、「Du liebes Kind, komm, geh mit mir!」のフレーズ、ソロパートには特に指示がないものの、伴奏ピアノ部分になんとまぁ、ピアニシッシモ(ppp)の指示がある。
つまりシューベルトの望む魔王像ってのは、力ずくで子供を脅し連れ去るものではなく、甘く誘惑に満ちた声で子供を惑わす様相を要求。

楽器と違って、声でpppを表現ってのは、歌う側からするとむちゃくちゃイヤなもんなんですね。
弱めれば弱めるほど、響きは取りにくくなるし、発音や息の使い方だって難しくなる。
ただ弱くってならいいけど、あくまでも声楽曲である以上は、いかに弱くしてもある一定の響きを維持しておかないとダメだから。
2回目の魔王登場も同じく伴奏部分にppp。
3回目の登場でようやくppになり、子供を連れ去るその瞬間に始めて伴奏パートにffが出てくる。

というわけで、久しく現場から離れてしまっているぼくには、その辺りのコントロールは無理でした(泣
とりあえず雰囲気だけってことでご勘弁いただけると有難いです(汗
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