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2006.08.23 (Wed)

ノクターン第20番嬰ハ短調(遺作)/F.ショパン

ノクターン第20番嬰ハ短調(遺作)/F.ショパン
Nocturne No.20(Lent con gran espressione)
ピアノ/辰巳直弘


試聴URL
http://piano.adam.ne.jp/asx/ch-noc20-2009_t.asx



ショパン20歳、彼の生涯の中でもっとも激動に満ちた時代の作品。
祖国ポーランドは、この時代の地図上にはなく、ロシア・プロシア・オーストリアによる三国分割の真っ只中で政治的にも極めて不安定な時代。
そしてこの時期の彼にとってもっと大きな事件といえば、前年、音楽学校で知り合った声楽科の娘、コンスタンツィヤ・グワトコフスカを愛するようになったことですね。
この時期、友人に宛てた手紙の中にもこう記されています。

「実は僕は(多分不幸なことに)もう自分の理想の人に巡り会ってしまった。この六ヶ月の間、自分の気持ちは打ち明けずに心の中で忠実に仕えてきたんだ。彼女のことを夢見て、その想い出の中で協奏曲のアダージョを書いた。今朝作った小さなワルツ(作品70-3変ニ長調)も彼女から霊感を受けて書いたものだ・・・」と。

しかし生来内向的だったショパンは、手紙にもあるように結局この想いを打ち明けることができす、グワトコフスカは何も知らないままグラボフキという金持ちの貴族と結婚してしまった。
この手紙の中にある「協奏曲」とはピアノ協奏曲第2番のこと。
前年、19歳の時、グワトコフスカとの出会いと時期を同じくして書き始められた作品で、手紙に見られるように、彼女への情愛を元に書かれた、言わば片想いコンチェルト。

さて、このノクターン、このコンチェルトと同時期に書かれたこともあって、同じモチーフが随所に用いられているんですね。
1楽章の変イ長調の第2主題、第2楽章の冒頭のアルベジオ、第3楽章のユニゾンの音型などが、ほぼそっくりそのまま。
ノクターン自体は姉のルドヴィカに献呈されていますから、おそらく姉がこのコンチェルトを弾くためのエチュードとして作曲されたものだと思われます。

この曲、なんでこんな悲しいんだろうっていつも思うんですね。
片想いなのはいいけれど、ちょっと尋常じゃないぐらい切なく苦しい。
で、色々調べてみて僕なりに推測してみた。
この曲のモチーフになったであろうグワトコフスカって女性ね、かなり男好きのする女性だったみたいなんです。
ワルシャワの青年やロシア人将校と夜な夜な遊び歩いていたり。
ショパンの手紙に中にある(不幸なことに)っていう括弧書きも、もしかすると、そういう彼女の性格を指してのことかもしれない。

愛する女性が夜毎に他の男と遊び歩いている。
なのに自分はその愛を打ち明けることさえ出来ず、ただその背中を見つめるだけ。
そんなどうしようもない苦しみがcis-mollの上に紡ぎ出された。

そう考えてみると、この旋律の扱いがなんとなく見えてくる。

ダメな男、女ほど好きになっちゃうっていうのは今も昔も一緒。
だからこそ強く燃え上がり、とめどなく溢れる情愛。
だけれど、どうしようもないという強烈な葛藤。
もしかすると、少し前に亡くした妹、エミリアの面影も織り込まれてるのかもしれないけれど。
どちらにしろ、青春時代のやり場のない苦悩を内包した旋律なのは間違いですね。

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